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 長次郎2度目の出府の際、富士川を渡る時、雨後の逆流で舟が転覆し持物を全て失って裸同然で土佐藩砂村下屋敷に到着した。この砂村には土佐藩抱工刀鍛冶左行秀が邸内に鍛練場を造り刀鍛冶、鉄砲鍛冶として働いていた。長次郎はこの行秀を頼りにして出府した。
高知出発の時、岩崎弥太郎がその志を誉めて刀を一振り、長次郎にお贈ったが、それも富士川で流してしまい丸腰であった。
行秀には子供が無く、長次郎を我が子のように可愛がったと伝えられている。
その行秀が長次郎に差料を造ってやったのではないか。
それは長次郎の写真を見れば分かる。実に長大な刀を指している。まるで刀が主人のような写真だ。
見れば、長次郎の顔よりも長い白色の柄。鞘も写真の枠をはみ出すほど長い。
左行秀の鍛えた刀の中に、写真のような反りが少ないものが少なくない。
土佐藩はこの砂村藩邸で洋式小銃を造っていた。
藩邸は6000坪以上あり、広い鍛練場を建て、輸入した小銃をモデルに、和製洋式銃を生産していて、その工場長が行秀であったわけだ。
工場で働いていた若者は50人位いたそうだ。
裸同然で長次郎が転がり込んできても、問題は無かったのであろう。
長次郎が見つけたこの居場所から、砲術を縁として海舟との出会いが生まれている。
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